書斎
□奇跡の雫1
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「とりあえず雨宿りできる場所を探さないと。降ったら大変だもの」
またウロウロとさまよった。
そうしていると偶然、木に窪みが出来ている所を見つけたので、そこで一休みすることにする。
疲れきっていたあたしは気付かないうちに眠ってしまった。
まどろむ目を空けると、シトシトと雨が降っているのが見えた。
聞こえるのが雨の音だけというのが物悲しくさせる。
しかし、すぐに別の音が聞こえて来た。
それはお腹の音。そういえば朝ごはんを食べたきりだ。
「お腹すいちゃった・・・。」
バスケットの中には食べ物がある。でもこれはおばぁちゃんのだし・・・。
そう思ったけれど空腹には勝てなかった。
「少しならおばぁちゃんもきっと気がつかないわ。気がついても鼠さんが食べちゃったことにしましょう」
バスケットの中に入っているパンを鼠の1口分の大きさだけ食べた。
雨は1晩中降り続けて木の窪みの中で1晩を過ごした。
小鳥のさえずりに起こされ目を開けると、朝日がきれいに木々を照らしていた。
雨露が光を反射してより一層森を輝かせて見せる。
まるで森全体が水晶になったようだ。
「いい朝ね。さぁ、おばぁちゃんの所に行かなくっちゃ。
泊めてくれてありがとう。お礼にスカーフをあげるわ」
そういって木の枝にスカーフを巻いた。
「ほら、これであなたはこの森の中で1番オシャレな木になったわ」
そしてまた歩き始めた。