書斎

□魔へ続く階段2
1ページ/4ページ

僕が公園で5分も待たないうちにリーリスはやってきた。

「マルク」

そう言って僕に手を振ってくれる。
僕も手を振り返した。

「昨日はどうしたの?」

「体調が悪かったの。それより今日は何をする?マルク」

「どうしようか。
ねぇ、リーリス。明日はお昼から公園で遊ぼうよ」

「だめだよ」

考えるまでもないと言うように即答で断られた。

「なんで夕方にしか会えないの?」

「お父さんと2人だから、私が家事をしないといけないんだ。
でも私、不器用で・・。それでいつも終わるのが夕方になっちゃうの。だからだよ」

まるで聞かれた時の為に用意されていたような答えだった。

「そっか・・・。じゃあ、明日一緒に賛美歌を聞きにいかない?
夕方からだし明日は隣町のシスター達も来て盛大に歌ってくれるんだ。この町の数少ないイベントだよ」

僕がそう言った時リーリスの表情は一瞬、今までに見たことがないような顔になった。

初めて見るリーリスの表情に僕はすこしあとずさる。
でもまたいつものように微笑んだ。

「それもだめ」

「なんで?リーリスは賛美歌って嫌い?」

「うん、あんまり・・・。もっとテンポが良い曲のほうが好きかな?」

「そうなんだ。そうだ。見てもらいたいものがあるんだ。昔のおばぁちゃんの写真なんだけど・・・。」

僕はそう言って、こっそりポケットにしまい込んだ写真をリーリスに見せた。

「手前にいるのがおばぁちゃんとソフィアさん。奥のほうにもう1人写っているでしょ。わかるかな?
古くて少し見にくいけどリーリスにそっくりじゃない?なんで昔のおばぁちゃんの写真に君が写っているの?」

「これは・・・。私なわけないじゃない」

「本当にそっくりだね。別人とは思えないくらい」

「別人よ。これは私じゃない」

「ねぇ、リーリス・・・。1つ聞いてもいい?」

「何?」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ