書斎
□魔へ続く階段1
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「マルク、外で遊んでおいで。寒いからマフラーをしていくんだよ」
「うん。分かった」
おばあちゃんに言われて僕はマフラーをして外にでた。
外はどんよりと暗くてシンシンと雪が降っている。
行く所はいつも公園。
だけど行ったところで僕はいつもひとりぼっちだ。
皆が遊んでいるのを遠目にみているか、ブランコに揺られている。
ブランコは好きだけど、かじかんで上手にロープを握れないので最近は乗ってない。
楽しくもないのに公園に来ているのは、家にこもっているとおばあちゃんが心配するから。
今日もとぼとぼと公園に向う。
今日は、なぜか妙な違和感がした。いつもと違う感じ。
その正体は『声』だった。
公園近くまで来たというのに声が全然聞こえない。いつもはうるさい位聞こえてくるのに。
公園に入るといつもいる子達はいなく、かわりに栗色のサラサラの髪をカチューシャでとめている女の子がいた。
外はこんなに寒く雪が降り込めているのにフードもかぶっていないし、マフラーもしていない。
「こんにちは」
いきなり声を掛けられて僕は驚いた。
「こ、こんにちは」
あわてて返事をする。
「私、リーリス。最近引っ越してきたの。よろしくね」
「僕はマルク。何をしているの?」
「雪をみていたの。前に住んでいた所ではあまり降らなかったから」
「そうなんだ。なぜフードかぶらないの?」
「こうしたほうが雪を楽しめるから。ねぇ、私と友達になってくれる?」
「うん」
「ありがとう」
それから僕たちは色々な話をした。
あの子はお母さんを幼い頃に亡くして、今はお父さんと2人だけで暮らしているらしい。
僕と少し境遇が似ている。僕も両親が離婚して、おばあちゃんと2人だから。
そのせいか1日で僕達は仲良くなった。