書斎
□紅の中で
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私は放課後の教室で1人うつ伏せになっていた。
理由はない。
なんとなく家に帰りたくなくって。
穏やかな時間が流れていく。
夕日の紅がどんどん濃くなっていった。
ああ、もういい加減帰らないと・・・。
だけど、体は動いてくれなくて。
そのまま夕日の濃さは増していくばかり。
まどろむ意識の中で声が聞こえてきた。何を言っているかは聞き取れない。
あれ?私、眠ってた?
その声は少しずつ私の中で意味を持ち始めた。男子の声・・・?
「俺、間違ってたかなぁ?」
何が?
意味はまだ曖昧にしかとれない。誰かいるの?
「よりによってこんな鈍感なやつだなんて・・・。」
声の意味がまた徐々に無くなっていく。
体も重さが増していって、泥沼にでも沈んでいってるよう。
だけど、それは次の一言で冷水にかわった。