謎の島
□再開
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どうしよう。はぐれちゃった・・・。
さっきまで僅かながらいた人も今はもういなく、人っ子一人見当たらない。
道案内の標識のようなものを探してみたが見つからなかった。
それどころか何か目印となるようなものもない。
あるのは6つの道だけ。
前に続く道が1つ、後ろに1つ、右側に3つ、左側に1つ。
でも、どの道から来たのかなんてもう分からないし、どれを選べばいいかなんてさっぱり分からなかった。
周りはどこも皆同じような風景で目印もない。万が一同じところをウロウロしていたって分かりっこない。
本当にどうしよう・・・。
僕は道の隅っこに座りこんだ。少しだけ暗くなってきて、不安感が募る。
そのまま座りこんでいると、1匹のネズミが目の前を横切った。反射的に呼び止める。
「こんにちは」
「こんにちは、って何してるんだよ?」
「迷っちゃったみたいで・・・。」
「俺は餌を探してるんだ。この町もドンドン食料がなくなってなぁ。全く、大変だよ」
「あっ、そうだ。チーズ持ってるんだけど、食べる?」
僕はそう言って鞄の中からチーズの欠片を取り出した。それをネズミさんの前に置く。
「いいのか?ありがとう」
ネズミさんはそう言うなり、美味しそうにそれを口にほお張った。
多分、知らないだろうな・・・。
そう思いつつも聞いてみることにした。
「シルクハットの男の人を見かけませんでしたか?」
「シルクハット?ああ、それなら向こうで見かけたぞ。左の道を真っ直ぐだ」
「本当に!?ありがとう」
「いいってことよ」