忍たま小説集(R指定)D

□無茶苦茶だけど・・・
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雛は休日を利用して町に遊びに行っていた。
「新しい着物買いたいけどいい値段するのよね〜」
流行の着物を見ていたがどれも高く彼女のお小遣いでは手に入らないものだ。
着物を見たり小物や鏡を見たりとウインドーショッピングを楽しんでいた矢先、野次馬たちが集まっていた。
「何かあったのかな?」
野次馬の中を泳いで現場を見ると血だるまになっている山賊を引きずって役所の人と口論している新平を目撃した。
「だからこいつは山賊で役所に持っていくところなんだ!」
「あんたね・・・」
この光景を目撃した雛は気づかれないようにこの場から去った。
「新平ったら・・・確かに山賊達が悪いけどやりすぎなんだよ・・・周りから見たら新平の方が犯罪者だよ」
雛は町から出て学園に帰って行った。

学園に帰って食堂でお茶を飲みながら寛いでいるとき、新平が戻ってきた。
「やっと帰れたぜ、役者の人は本当にもう、うるさいといったらありゃしねぇ、俺の言うことは全然信用しねぇわ怒られるわで」
「世間から見たら新平の方が犯罪者に見えるからよ」
「悪いのはあいつらの方だ!」
新平は荒々しく座り、愚痴をこぼし続けた。
「はぁー・・・徹底的に話しまくったらスッキリした」
「はいはい・・・よかったわね」
「これから生物委員の仕事に行ってくる」
「行ってらっしゃい」
新平が去ると雛はため息を漏らした。
「何で私あいつに惚れたのかな・・・」
最近ではそう思う回数が多くなっていた。

自分は何で新平に惚れたのか・・・

どうして別れようとはしないのか・・・

最近雛は新平と別れようと思うようになっていた。
でも雛は頭の中ではそう思っていても実行には移らずにいた。
「最近新平とはときめかなくなって来ているし性行為もここのところずっとヤっていないし・・・」
雛はもう一度ため息を付いた。
お茶を飲み干すと食堂から出て校庭を歩いた。
新平が落ち込んでいる一平に何かを話していた。
「尼崎先輩、89点って悪い点数じゃないですよね?」
「当たり前だろ、70点以上の点数は皆立派な点数だ」
「でも安藤先生はこんな恥知らずな点数は落ちこぼれ以下でもなんでもない、忍者になる資格はないって・・・」
一平は点数が悪かったことによって安藤先生に叱られたのだ。
これを聞いた新平は一平を励まし、安藤先生を懲らしめに行くと言い持っていたトイレ用ゴム手袋を装備して職員室に向かった。
数十分後には新平が返り血を浴びて戻ってきた。
「ただいま」
トイレ用ゴム手袋を処分し一平にもう心配は要らないと励ました。
「先輩・・・僕はそこまでやれとは頼んでいませんから・・・それに生徒が教師相手に暴力を振るうのは問題発言ですよ」
「悪いのはアブラ親父だろうが!あいつは好成績ばかりこだわっているからな!成績だけが全ての教育じゃないと思い知らせるのもまた生徒の役目だろうが!」
「教師が生徒に教わることもあるけど基本的にはそういうことはしませんから」
この一部始終を見ていた雛は漸く自分が新平に惚れた理由が分かった。
(そうか・・・新平のやり方は強引だけど言っていることは全て正しいことばかりなんだ)
多少強引だか言い分は正しいことばかり。
その正しさが全て証明されているため新平は退学にはならず誰からも慕われていたのだ。
雛は新平と初めて会ったときにそれに惹かれて告白し、交際を始めたことを思い出した。
(本当・・・迷惑だけど有能な奴なんだから)
軽く笑うと部屋に戻った。
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