I.T.L

□第8戦【迫る恐怖、危機】
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建物と建物の間、裏路地、砂漠手前周辺――街中、どこを探しても見つからなかった。

こうなれば、砂漠の方へ捜索しに行っているスレッドのいい知らせを待つしかない。
いい知らせが来るかどうかもわからないが、今は信じるしかなかった。



まだ夜が明けて間もない。
昨日の活気の良さが嘘のように街はしん、と静まり返っていた。


「お兄ちゃん…、どこ行っちゃったんだろ……」


リアは、今にも泣きそうな表情で一人呟いていた。
この現状で慰める言葉が見つからず、私は「わかりません……」と答えてしまった。


「……お兄ちゃん、また私のこと嫌いになったのかな…」


"また"というのは、きっとリヴァイベルでフォックスがリアを拒んだ時のことだろう。リアはあの出来事を今まで"嫌われたと"思っていたようだ。

私は、フォックスがいつも繋いでいた手を振り払った理由は、彼の過去に関係があるのだろうとしか思えず、そこで終っていたのだが、リアにとっては悲しく辛い突然の出来事であり、更にリアはまだか弱い子供。
傷付かない筈がなかった。嫌われたと思っても仕方ないことだ。


「嫌われてなんていませんわリア!この前の出来事は……、フォックスの過去に関係があると思います…」


リアの目に溜まっている涙を、ウエストポーチから取り出したハンカチで拭き取り、私は笑顔を作って見せた。
するとリアはこちらに顔を向け「本当…?」と尋ねて来た。


「ええ。フォックスがリアを嫌いになる理由なんて、どこにもありませんよ」

「そ、か…。そうだよね…」


リアの表情に、また笑みが戻り始めた。
いつものような満面の笑みではないが、それだけ暗かった心が回復したということで、私は安心してほっ、と息をついた。


「もちろんです。さぁ、フォックスを探しましょう!」


私はリアの手を取り、共にもう一度フォックスを捜索し始めた。










きっと……、見つかります。
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