I.T.L

□第7戦【一人という虚しさ】
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「あーあ…、髪もったいないなぁ…。凄く綺麗な髪だったのにぃ…」


リアは地面に落ちたセレンの髪の毛を拾い、心底残念そうな表情で言った。


「…うぅ……っ。
で、でも髪はまた生えてきますし、何より髪だけは切ってよかったと思いますっ」


冷や汗をかきながら言うセレン。
本人に言えば悪いが全くもって説得力がない。



それはさて置き、そろそろ夕日も沈んでいく時間帯なので少し早歩きで『ペルタン』へと向かった。































――ダンッ!!!


「クソ…ッ!!」


私以外誰も居ない、とある研究室にて、
何の罪も無いデスクを思いきり叩いた。

自分の孫を殺す為にあんな化け物を造っていると思うだけで虫唾が走る。



困ったものだ…。
フォックスがあんな酷い目にあっているのは全て自分が悪いというのに……。


研究に没頭するあまり、息子ルーバには何もしてやれなかった。

私の妻はルーバがまだ幼い頃に病気で亡くなり、
父子家庭になったというのに私の頭の中は研究のことばかりで全くといっていいほどルーバにかまってやれなかった。


そのせいでルーバは『人を愛する』ということを知らず育った。

そのせいでルーバは…、
いつしか『人を憎む』ようになってしまった…。


その頃も私はまだ研究に没頭し、毎日毎日研究所に泊り込みで研究を続けていた。

その成果を買われ、今ここの研究員となってまた研究をする毎日となっている。


ここの研究員になる前にルーバを孤児院へと連れて行き、心の内でルーバを捨てた。



全ての、この出来事の発端は私にあるのだ…。

『人を愛する』ということを学ばずに育ったルーバは相手を利用する為だけに結婚した。

そして、産まれた自分の子供を兵士にする為に、
人を殺す殺人兵器にする為に…、
まだ幼いフォックスを『兵士飼育所』へと捨てた。


私が研究をやめてルーバに『人を愛する』ということを教えていれば、
きっとこんなことにはならなかった筈だ…。


ルーバがあんな者になったのは…、
全て私が悪いんだ…。








すまない…。
ルーバ、フォックス…。















このまま生きていても、

フォックス…、
お前を殺す為だけに働かされるだけだ…。






私はデスクの上にあるハサミを手に取り、




グサッ!!!



自ら、喉に刺した。












これは単なる『逃げ』かもしれない。

だがこれで少しはあのトカゲの化け物、【ダグ】の強化などは出来まい。



私に出来ることは…、


残念だがこれで精一杯だ……。









すまない…。



本当に…、すまない……。








どうか…、





生き延びてくれ…、






フォックス……。











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