I.T.L

□第6戦【蘇る故郷の街】
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トカゲは丸焦げになって地に落とされ、5体共死んだ。


「ふー…っ、なんとか勝てたな…」


「驚きましたフォックス…。貴方『波皇ゲルカンテス』の奥儀が使えるのですね?」


「……は?『波皇ゲルガンテス』?誰だそりゃ」


またこの女は…。
ルーバの時と同じじゃないかこの場面は。


「ご存知ないのですかっ!?存じ上げないのに…、どうして奥儀が使えるのですか…っ?」


「どうしてって…、この奥儀は代々家に伝わるものだ。
……って言っても、俺が知っている奥儀はこれだけだがな」


「代々家に伝わるもの……?
…もしかして……」


「何だよ?言いたいことがあるならハッキリ言え」


「…いえ、何でもありません。
確証が持てないままこんなこと口にしたくありません」


その時のセレンの目はいつもと違う目をしていた。

なんというか…、『疑いの目』…?


「そうかよ、だったらもういい」


あまり問い詰めても仕方なさそうなので、俺は問うのを止めた。


「はあぁ〜…っ」


「リアッ?」


突然、リアが地面にペタンと座り込んだ。


「どうしたリア、大丈夫かっ?」


俺が駆け寄ると、リアは俺の手をぎゅっと握り締め、


「怖かった…っ」


と、震えた声で言った。


無理も無い。
戦った経験などない人間が、ましてや子供があんな化け物を見ただけで恐怖を感じるのは当たり前だ。


「…怖かったな、でももう大丈夫だ。悪い化け物は退治した」


「へへ、お兄ちゃんヒーローみたいだね」


まだ震えながらも、俺に笑顔を見せてくれた。

そんなリアを見て俺は笑みを浮かべ、ポンポンと二回頭を軽く叩いた。
そして腰を抜かして立てないリアをおぶさった。


「なんとか一件落着、だな」


「これでスレッドさんがフォックスのこと、許して下されば良いのですが…」


「さぁ、どうだか……。でも、誤解は必ず解くさ」


何気ない会話をしながら、俺達は一旦長老の家へと向かった。






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