I.T.L

□第4戦【過去を見るな、今を見ろ】
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――真っ暗な…、暗闇の中…。


ここは、どこだ…?


俺は辺りに何か無いかキョロキョロと見回してみた。


何も無い、真っ暗闇。本当に何も無かった。
これは…、夢…?


――ピチョ…ッ


水滴が地面に零れ落ちた音が聴こえた。
突然の音に驚き、すかさず音がした地面を見てみると、不意に自分の手が目に映り、俺は仰天して目を見開いた。

手に付着していたものは……。


…え……、血…が……っ。
手に血がついて…っ。

『ほうら…、お前は今罪も無い人間を殺した…。やはり人のことなど言えんだろうが』


突然、脳内に憎いルーバの声が響いた。


アイツ…ッ!どこだルーバッ!!!

『お前は、お前自身の大切な人を殺したようだなぁ…、フォックス』


意味が分からない。
大切な人を殺した…?

まさか…っ、リア……ッ?


『下をよーく見てみろ』


ルーバの言う通り、暗闇の中目を凝らして地面を見てみた。
そして見えたものは……、


!!!
リ…、リアッ!?

『フハハハハッ!!!
馬鹿だねぇ…、自分自身の大切な人間まで手にかけるとは…っ』

やめ…ろよ……っ!


ルーバはまた俺の弱みを握り、弱点ばかりを攻めて俺を壊そうとしてくる。
もう、この時点でルーバの声が途端に怖くなった。

俺がリアを殺してしまった。
リアを………、そんなこと有り得ない…っ。


『本当はそのガキはお前自身にとって大切な人間ではなかったんじゃないか?』

……黙れ!黙れっ!!!
俺は…っ、俺は…っ!!


俺はリヴァイベルでルーバと会ったあの時のように頭を抱え、その場にしゃがみ込んだ。
ルーバの声を無視しようと努力したが、脳に直接語りかけてくるようなルーバの声は、どんなに拒んだとしても止むことはなかった。


『ただ同情して一緒に連れていただけだろう?』

や、やめろっ!!消えろ!!消えろよっ!!

いやだ…っ、俺は…リアを…っ!!
殺してなんか…っ!!!


これは夢だ…っ、消えろ…っ。
これは夢だ…っ!消えろ消えろっ!!
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