I.T.L

□序章《 プロローグ 》
1ページ/1ページ


神の使いと云われる5人の神者[しんじゃ]、それ等を束ねる"神聖者[しんせいじゃ]"と、自然そのものの存在である聖霊の祝福により、豊かな大地に恵まれた星。


名を"ロイラ"


それまではまだ、聖霊と人々は仲むつまじく共に生き、暮らしていた。


しかし、世界を占める二つの大国、フェストル連合王国とアザード連邦帝国が、植民地の取り合いやそれぞれの信ずる宗教の破綻により、世界全土を巻き込む程の戦争が巻き起こった。


それが、何百年と続く戦争時代の始まりである。


その後直ぐに影響を与えられたのは、罪無き聖霊達だった。
汚れた空気を毒とする聖霊は次々と死に絶え、その約半数を失ってしまった。

聖霊達の間でそれが問題となり、人間が手の届かない何処かへ住処を変え、それ以来二度と人間の前に現れることはなくなった。

今まで自然を維持してきた聖霊が居なくなったことにより、豊かな大地だった世界は急速に枯れ果てていき、平原だった地は荒野となり、緑生い茂る森は次々と消え去っていった。


それが世界にどれだけ影響を与えるかも知らず、人間達は戦争を止めはしなかった。


進化し続ける兵器は歴史を刻むごとにその悍[おぞ]ましさを増していき、銃器や戦車等の兵器よりも悍ましいものが人によって造り出された。

それが、極秘裏に子供を拉致し、洗脳させ人間兵器を作り出す施設、


"兵士飼育所"


そして、兵士飼育所が建設されてから
16年後――。




燃え盛る小さな街の中、

血塗れになった人間の目の前で、
血塗られた剣を構え、

元の瞳の色であろう銀色は、
鈍く灰色となり、


酷くやつれた青年の姿があった。







[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ