ブック13
□抱き締めて!
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「あらあら?キラ、冷たいです」
「冷たいのは君だろ。僕が何度も話しかけても相手にしてくれなかったじゃないか」
だからここで寝てたんだよ。と、キラはそっぽを向いてしまう。
ラクスは相変わらず自分のペースで「あらあら、まあ…」と困っている。
「怒らせてしまいましたか?」
「…ううん」
「…怒って…いらっしゃないのですか?」
「怒ってなんか、ないよ…」
ラクスは首をかしげる。てっきり怒っているから、拗ねてるのだと思っていたのに。
二人の足元のハロとトリィは相変わらず仲良く会話をしている。
ラクスはそっぽを向くキラの顔を覗き込みながら尋ねた。
「淋しい思いをさせてしまいましたか?」
ピクッとキラの目が動いた。
「…ごめんなさい」
ラクスは本当に申し訳なさそうに頭を下げた。
キラはその様子を眺めて、本日何度目になるか分からない溜め息をこぼす。
「謝るくらいなら、構ってよ」
「?」
ラクスは頭を上げてキラを見た。
空色の瞳が疑問の色を見せる。
キラは腕を広げて、子供のように訴えた。
「抱き締めて!」
一
瞬、呆気に取られてしまったラクスだが、両腕を広げたキラの姿に笑みを浮かべ、彼に飛び付く。
ぎゅうっと華奢な身体に抱かれたキラは、何とも言えない幸せな笑顔でラクスを抱き締め返すのだった。
end.
このバカップルがァァ!
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