ブック13
□貴女とならばどこまでも
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「どこか遠くへ、連れて行ってくださいませんか」
ずっと窓の外を眺めていた彼女が、ふと呟いた。
#貴女とならばどこまでも
「いってらっしゃいませ、お嬢様」
「はい、行ってきますわ」
きっちりと頭を下げる執事に、ラクスはにこやかに答え、
自分を待つ車へと入った。
バタンとドアが閉まり、車がゆっくりと走り出す。
ラクスは運転手の背中を見たあとすぐに、
外の景色を眺める。
次々と流れていく景色のなかに、自分と同じ制服の少女達を見つけた。
彼女達は、自分のペースで歩きながら楽しそうに会話をしていた。
自転車に乗ってる人もいるし、パンを頬張りながら歩く人もいる。
みんな、それぞれ自由に、登校の時間を楽しんでいるのに…。
ラクスの目頭に熱が集まっていく。
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