ブック13
□貴女とならばどこまでも
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ラクスを乗せた車は郊外を離れ、木々が並ぶ細い道を走っていた。
滅多に車の通らないここは、日頃の疲れを癒すためによく通っている。
「…どうして、ですか…」
ゆっくりと車を停め、キラはハンドルを見つめながらラクスに尋ねた。
―どうして、あんな事を?
ラクスは、窓の外に広がる自然に目を向けながら静かに告げる。
「…ザラ家のご子息との婚約が、決まったのです」
「!」
一瞬、息が詰まった。
「昨日お父様から聞かされて……。
わたくし、アスランのことは好きです…でも…」
(それは、お友達としてなのに…)
キラはハンドルを固く握った。
前から、ザラ家の子息とラクスの婚約については話が上がっていた。
だけど、ラクスはまだ15歳の少女で、ザラ家の子息に恋愛感情はないと知っていたから…安心していたのに。
まだ、彼女を好きでいていいのだと思っていたのに。
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