ブック13

□貴女とならばどこまでも
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まるで、時間が止まったかのように
キラは蒼い瞳を見つめた。




彼女は今、何と言った?




「……お嬢様…何をおっしゃって…」



「…キラ、ラクスと呼んでください。お嬢様なんて、呼ばないでくださいっ」



ラクスの瞳がじわりと揺れる。

そうしてる間に、信号は青に変わり、キラの車の後ろからクラクションの音がした。



早く進まなければ、と、キラはブレーキから足を離す。


ここを左折すればラクスの通う学園だ。








「…キラ…」




ラクスの瞳が見開かれた。
いつも左折する場所を通り過ぎ、車は真っ直ぐに進み始めたのだ。




「…ありがとうございます、キラ…」




ラクスはキラの背中に向けて微笑んだ。




彼は、クライン家の運転手なのだ。
ラクスを学園までちゃんと送り届けることが仕事で、それを放棄することは許されない。

なのに、キラはそれをしてくれた。




「本当に、ありがとう…キラ…」











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