ブック13
□貴女とならばどこまでも
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そんな彼女の様子を、キラは正面のミラーを使って見ていた。
いつもなら、自分も歩いて行きたい!と必ず頬を膨らませながら、運転している自分の背中を眺めているのに。
前の信号が赤に変わり、キラはゆっくりとブレーキを踏む。
出来るだけ、車が揺れないように。
この信号を左折すれば、ラクスが通う学園に着く。
長いようで短い、彼女と過ごす時間が終わる。
キラはハンドルを握りながら右手人差し指で、リズムを取った。
「どこか遠くへ、連れて行ってくださいませんか」
ずっと窓の外を眺めていた彼女が、ふと呟いた。
「…え…」
キラは後部座席を見た。
ラクスは、窓の外に向けていた顔をゆっくりとキラに向ける。
今日初めて、二人の視線が合った。
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