ブック13
□やっぱりライバルです。
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「お兄様一筋」な所は相変わらずだが、
そんな小さな進歩をキラは嬉しく思う。
なぜなら彼はラクスが好きだから。
「じゃあ、水族館は今週の土曜にしよっか?」
「はい!楽しみですわ」
楽しそうに相づちを打つラクスの可愛さに、キラは頬がゆるむのを止められない。
(可愛い―)
と、不意に鋭い視線を向かい側から感じた。
「………」
「………」
アスランだ。
アスランもアスランで、かなりのシスコンだ。
妹離れを急かすキラに、アスランは毎回目をキッと鋭くつり上げ「お前にラクスはやらん!」と唸る。
好きな子からはライバル視され、
好きな子のお兄さんからもなんか敵視されている。
「前途多難、だな…」
「?何かおっしゃいましたか?」
気付かれないように小さく発したはずの言葉がラクスの耳にひっかかったようで、
彼女は首をかしげた。
「なんでもないよ、ラクス」
にっこりと微笑みかけると、ラクスはきょとんとした顔でキラを見た。
「? そうですか」
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