ブック13
□彼はライバルです!
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「お邪魔します!」
昨日、お兄様から聞かされた通り、彼は家にやって来た。
お兄様はとても無愛想な人で。
あまり慣れてない人や、初めて会う人によく「冷めてる」と誤解を受けやすい。
…本当はとても優しくて、思いやりのある、ただ不器用なだけなのに。
“キラは、こんな俺にいつも話しかけてくれてたんだ”
いつの頃か、嬉しそうにキラさんのことを話すお兄様が浮かんだ。
―悔しかった。
お兄様のことを分かるのは、わたくしだけなんだと思っていたから。
なのに、キラさんは中学に入ってからお兄様と知り合い、
たったの2、3ヶ月でお兄様の一番の友達となっている。
「あー、久しぶりだね、ラクス。背、少し伸びた?」
リビングのソファーに腰かけたキラさんが無邪気な笑顔を向けてくる。
眩しい笑顔。
お兄様はコレにやられたのかと思うと、少し腹が立った。
「つい1週間前にお会いしましたでしょう。身長はそんなすぐ伸びません!」
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