ブック13
□君の側で眠る
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「あ…」
扉の向こうの景色に、シンは瞳を瞬かせた。
いつもみたいに、乱暴に入るんじゃなかったと、口元に人差し指をそっと押し当てて微笑む人物を見て内心後悔する。
【君の側で眠る】
「しー、です。シン」
揺れる桜色の髪は高く結い上げ、空色の優しい瞳を愛しげに細めるラクス・クライン。
この部屋の主の上司であり恋人だ。
「お急ぎなら、起こしましょうか?」
ちょこんと首をかしげる、その仕草はこのプラントの最高責任者とは到底思えないくらいにあどけない。
「は…いや、えっと、(無理矢理押し付けられた)報告書を持って来ただけなので大丈夫です」
「まあ、そうでしたか。ご苦労様ですわ」
にっこりと微笑まれ、シンは慌てて頭を下げた。
「いえ!仕事でありますので!自分はこれで失礼しますっ」
部屋から飛び出して、シンは溜め息をつく。
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