ブック13

□受け入れて
1ページ/1ページ



短い口付けのあと僕の目に映ったのは、蒼い瞳が溢れ落ちそうになるほど目を見開いた愛しい少女。


「……これは、どういう意味、でしょうか…」

「…そのままの意味だと思うんだけど」




ずっと好きだったんだ、と
瞳で彼女に訴える。
その彼女は明らかに困惑の色を示していた。


それはそうだろう、と思う。
僕たちはずっと一緒にいて、傍にいることが当たり前の存在で。
二人でイタズラをして回ったり、喧嘩をしては周りに心配をかけたりして。


離れることはないと思っていた。でも、それ以上に、僕たちの心が通うこと

はないとも思っていた。



だけど高校に入って、それが少しずつ変わった。
僕と彼女の間に、ほんの少しの距離が出来たんだ。





それがたまらなく淋しくて、不安で、許せなく感じた。
彼女と僕の間に距離が出来るなんて、彼女が僕から離れていくなんて、
彼女が僕以外の男の隣を歩くなんて!

その時に、初めて気づいた。
僕は彼女が、ラクスが好きなんだって。




「…キラ、ご冗談でしょう?」

僕からの視線から逃れるように、ラクスは目を伏せる。
僕は彼女の制服に手をかけた。

「!」

「冗談でこういうことは

しない。出来ないよ」


彼女は必死に体をよじって、僕から逃れようとする。


「ラクス!」


びくっと震えて、彼女は動きを止める。
僕は震えそうになる声を押さえながら、ラクスの頬に触れた。



「……僕を拒絶しないで、お願いだから…」

「…でも……でもっ、こんなこと…!わたくしたちは…」



泣きそうになったラクスの頬に、別の滴が落ちた。
彼女は目を見開いて、僕を見る。


「分かってるよ…。こんなこと、あっちゃいけない。僕たちは兄妹なんだから…っ」


堪えきれない涙が溢れた。



「でも、好

きなんだ。どうしようもなく、愛してる…」


僕は再びラクスに口付ける。
ついばむような口付けを何度も。




「僕を受け入れて…」










戻る

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ