ブック5
□いまはむかし
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「桜は小さくてとても可愛い花だよ。ピンク色の花びらがとても綺麗で、風に吹かれるとすぐに散ってしまって儚くて…けど、桜が風に舞う様子は少し……」
(ユフィの髪に似てる)
途中で言葉を止めたルルーシュに、ナナリーは首を傾げた。
「…お兄様?」
「……風に舞う様子がすごく綺麗で、僕はとても好きだと思った」
ルルーシュはナナリーの手をそっと自分の手で包み込んだ。
「ナナリー、これやるよ!」
小さくパキっという音が聞こえた。
ルルーシュが振り向くと、スザクが細い枝に幾つか花を咲かせている桜を持っている。
「スザク!枝を折ったのか!」
ルルーシュがあからさまに非難の声をあげると、スザクはむっとして口を尖らせた。
「俺んちの桜なんだから良いだろ?
それよりナナリー、これナナリーにプレゼントな!」
満面の笑みを浮かべて、スザクはナナリーの手に枝を握らせる。
ナナリーはもう片方の手で枝、そして花びらにゆっくり触れた。
「本当に小さなお花ですね。それに、花がとても柔らかいです。ピンク色で、柔らかくて…
ふふ、なんだかユフィお姉様みたい!」
ナナリーは嬉しそうに桜の枝を胸に抱いた。
「ありがとうございます、スザクさん!とっても素敵なプレゼントです」
車椅子に乗ったままスザクにお辞儀をしたナナリーは、今度はルルーシュのほうを向く。
「お兄様!私、桜がとても好きになりました!
また連れてきてくださいますか?」
ナナリーが不安そうに首を傾げると、ルルーシュは彼女の頬に手を添えて微笑んだ。
「もちろんだよ。また必ずここに連れてくるよ、約束だ」
「はい!ありがとうございます、大好きですっ、お兄様!」
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