ブック5
□騎士と姫君
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「当たり前です。
もし今後、そういったことをまたしたら
もう知りませんからね」
―嘘だけど。
と、スザクは心の中で舌を出した。
「はい。気を付けます」
ユーフェミアはすっとスザクに微笑む。
「危ないことは、しません」
「はっ?」
ユーフェミアの妙なニュアンスの言葉にスザクは怪訝そうな声をあげる。
ユーフェミアは半回転して、彼に背を向けた。
「だから、危ないことはしませんよ。
今度は安全な方法で、実行します」
ピヨピヨとヒナが鳴く枝を見つめて、ユーフェミアはほっと息をつく。
「貴女って人は…」
スザクは難しい顔でユーフェミアの背を睨んだ。
心配させられる、こっちの気持ちを考えてほしいのに。
そう、心底思う。
「でも、スザク。本当にありがとう。」
「何がですか」
「私を抱き止めてくれて」
ユーフェミアはにっこりと微笑んだ。
初めて出会ったあの時のように。
「…なんのデジャブかと思いました」
ふと、静かにスザクの手が震えた。
。