ブック5
□行方知らず
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とある事情でアッシュフォード学園の全校生徒で探し、追い掛け回した濃い灰色の猫。
その猫を捕まえたのは、つい先日学園に転入してきた枢木スザクだった。
スザクは灰色の猫を見た瞬間に気付いた。
―猫、苦手なんですか?
「…あの時の?」
前足に巻かれた包帯、金色の真ん丸の目。
間違いない。
ユフィ…いや、ブリタニア第三皇女ユーフェミア・リ・ブリタニアが手当てをしてあげた猫だ。
不安定な足元に気を付けながら、ゆっくりと猫に近づくスザク。
後ろから、ルルーシュが「無理をするな!」とスザクを怒る。
スザクの脳裏に、つい数日前の光景が浮かぶ。
空から落ちてきた少女との出会い、その子と歩いたエリア、
彼女の強さに触れて、ふと漏らした自分の想い…。
最近の出来事だというのに、やけに懐かしく感じる。
「大丈夫、恐くないから…」
この猫も、彼女との思い出のひとつ。
あの時は、警戒されて思いっきり噛まれてしまったけれど…。
スザクは苦笑する。
「僕のこと、覚えてる?君を手当てしたユフィと一緒にいたんだよ?」
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