ブック4

□「こころの変化」 V
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ヨウランはチラリと横の少年を見る。



彼は先ほどから何も口に出していない。
彼も、自分と同じ様にシンを気遣って何も言わないでいるのだろうか?




「………」








いや、たぶん違う。
彼はただ本当に興味がないだけに見える。




まぁ、それが彼らしいといえばそんなのだが。





「ちょっとレイ、ヨウラン!聞いてる!?」


「え!?ああ、聞いてるって…」

「…ああ」



「もぉ〜…」



ヨウランは、本日何度目になるか分からない溜め息をついた。



目の前の、ケーキをグサグサ刺しては口に運ぶ少女―ルナマリアの不満は一向に収まる気配がない。




シンの事は彼の勝手なのだから、放っておけばいいものを…。
ここで彼女がいくら不満を口にしたところでどうにかなるものじゃないし、とヨウランは思う。




しかし、そうはいかないのだろう。とも、思った。



“恋する乙女”としては…。











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