ブック3

□死に逝く鳥に愛の言葉を囁いて/W
2ページ/12ページ




僕は、あれ以来毎日のように彼女の病室に行ってたから
彼女がいない事にすぐ気付いた。









傘をさすのも忘れて、病院を飛び出した。








雨が邪魔をして、視界がぼやける。









彼女が行く様な所なんて分からないのに
ただひらすらに走る。








一月の雨は冷たくて









まるで槍のように僕の肌を刺す。








寒さで体力が奪われて、疲れが全身に伝わっていくけれど。










休もうなんて、これっぽっちも思わなかったんだ。








だって、彼女がどこにもいないから。








次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ