ブック3
□彼と彼女の叶わなかった恋 中編
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お気に入りの桜の木の下で、習慣となった読書をしていると、突然声を掛けられた。
『あ、突然ごめんなさいね。貴方っていつもここで本を読んでるでしょう?私、気になって…』
『へ?…え?』
ゆっくりとした口調でつらつらと言葉を発する彼女に彼は頭がついていかず、言葉が出ない。
驚いていたせいもある。けれど、彼は何よりも彼女のその容姿に言葉を失っていた。
―桜の精…
そういわれて、納得出来るほどの可愛らしい彼女。
誰もが頬を染めてしまうだろう。もちろん、彼も。
そんなことを知るわけもない彼女は、彼に顔をぐいっと近付けた。
『!!』
『これは何の本ですか?』
『えーと、これはですねぇ…っ』
赤面しつつ、一生懸命に本の内容を彼女に伝える彼。
その姿勢が、彼女の心を掴み、二人は恋に落ちた。
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