ブック2

□My Holiday
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「はい、キラの負けー」

ボロアパートの狭い部屋。
僕は記者仲間達といつもの様にカードゲームをして
いつもの様に大負けしている…。


「…僕もう帰る…」

「なんだよ、逃げる気か?」


隣で幸せそうに勝った金を数えるアスラン。
…こんにゃろう


「もう手元に6000円しかないの。これは絶対に手放せない。」


僕がそう言うと、アスランを含め、みんなが笑う。


「しゃーねぇな。じゃあ、キラ!明日のお姫様の記者会見で会おうぜー」


「うん、じゃあ、おやすみ」





夜中、すっかり静まり返った道を歩く。


ああ、明日の記者会見は10時からだったな。
早く寝なきゃ…。



そんな事を考えながらぼーっと歩いてると
ふと、視界に異色が目に入った。


「……ん?」



恐る恐る近づいてみた。




「お…んな…の子?」


見たこともない、桜色の髪を携えた女性が、歩道のベンチに横たわっている。


「……んー…」


僕の気配を感じとったのか、僅かに瞼を震わす。





ゆっくりと開かれたその瞳は、美しい空の色。





「………ご…機嫌よ…う…」



僕の姿を認めた彼女は力無く呟いて、ゆっくりと手を僕に差し出した。


「………ご機嫌よう。」



僕はなんの躊躇いもなく、その手を握った。


ずっと、外にいたのだろうか…。
握った手は冷たかった。







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