ブック2

□*2月5日*
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『おめでとう』


『は…?』


『おめでとうって言ってください。私に』


『お…おめでと…?』


何を言ってるのか分からない
いや、分かるんだけど、
何で突然「おめでとう」?


僕が戸惑っているのをヨソに彼女は無邪気に笑っている


『ね?お願いします』


…可愛い…

『…おめでとう…ございます』


『はい、ありがとうございます!』



彼女は満足だ!といったように笑った


『あの、いきなり何ですか?』


『へっ?』


何で驚くんだろう


『いきなり、おめでとうって…』





『今日は、私が生まれた日なんですの』



《ハロー!タンジョウビー》


へっ?誕生日?
そっか、だから「おめでとう」ね
そうなんだー


……


『誕生日なんですか!?』


僕は勢いよく立ち上がった


『はい!今日で16才になりました』


『……』


どうして、彼女は笑っていられるの?

自分の誕生日なのに
特別な日なのに
本当だったら家族や友達、たくさんの人に祝ってもらえるはずなのに

敵地で軟禁状態にされてて、自由もないここで誕生日を迎えて
どうして笑えるの?


しかも、僕の心のこもってない「おめでとう」に
どうしてそんなに笑ってくれるの?



僕はベットに座る彼女の隣に腰を下ろした


『キラ様?』


彼女は目を瞬かせて僕を見た







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