ブック1
□子守唄
3ページ/3ページ
「どうしましたの?」
突然のキラの行動に、ラクスは戸惑いながら問う。
「僕も眠たくなっちゃった」
片手でラクスの髪に触り、クルクルといじりながら呟く。
「僕のために子守唄、唄ってくれる?」
キラはにっこり、とラクスに微笑む。
「キラは子供ですか?」
クスクス笑いながら、ラクスはキラの頭を撫で始めた。
その手の優しさにキラは気持良さそうに身をよじる。
「なんで?」
「だって、とても甘えん坊さんなんですもの」
おかしそうに笑うラクスに、キラは溜め息をつきながら言った。
「…子供だよ?ラクス限定で。」
ラクスの子守唄。
子供達にだけ唄われるなんて、嫌だよ。
音にならない言葉を、キラは心の中で呟く。
目をパチクリさせていたキラは、「仕方ありませんわね」と嘆息した。
そして響くメロディ。
それはラクスがキラのためだけに歌う優しい優しい子守唄。
END.
2006/12/11修正