ブック1

□虹
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「…ラクスは、知ってる?」

「え?」


ラクスは顔を上げる


「…虹って、蜃気楼と同じなんだって…」


「蜃気楼…?」



「…目の錯覚…幻みたいなものなんだって…」


キラは遠くを向いた


「幻…ですか?」



「実際そこには無いのに…あるように見えちゃうんだ…」


ラクスの瞳が揺れた


「…僕みたいじゃない…?」




――本来ならば、存在しない人間
なのに、今ここにいる



虹は幻だから、誰も掴むことは出来ない

僕も本当なら存在しないから、誰かと繋がる事は出来ない







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