ブック1
□恋人がサンタクロース
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カリダに言われてキッチンに入ると、そこには確かに探していた少女の姿があった。
「ラクス?」
そっと呼びかけてみたが、まるで反応がない。
何やら一心不乱に手元を動かしているのだが、キラは自分の存在に気付いてくれないラクスに少し腹が立った。
眉間にしわを寄せて、キラはラクスの手元を見る。
「…すごいやっ!」
キラは驚きの声を上げた。
その声にラクスはやっと人の存在に気づいて後ろを振り返った。
「あら、キラ?」
「すごいね、コレ」
キラが指差した場所には特大サイズのケーキがいくつも並んでいた。
ショートケーキに、チョコレートケーキ、チーズケーキにブッシュ・ド・ノエルまである。
「すごいでしょう!カリダさんと一緒に作りましたのよ」
ラクスは自慢気に言った。
「さっき、やっと全部完成しましたの。」
カリダに、終わってない分はまた後でやろう、と言われていたラクスだが、後回しにするのはどうしても嫌で
だから、無理を言ってキッチンに篭らせてもらっていた。
完成したケーキ達を見て満面そうに笑みを浮かべるラクスの顔には作業中についたであろう、生クリームがついていた。
キラはそれに気づいて、ラクスの顔に手を伸ばす。
「…あら?」
キラはラクスの顔についたクリームを指先にとり、ペロッと舐めてみる。
「うん、甘くて美味しい!」
「……〜っ」
キラの一連の流れに、ラクスの頬がピンク色に染まっていく。
キラはこういう行為を無自覚でやってのけてしまう。
ラクスは、キラに見えないように嘆息した。
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