ブック13

□いつまでも続く奇跡
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「今日はカリダさんからハンバーグの作り方を教えてもらいましたの!」


夜空にひろがる星々の大海を見上げながら、薄紅色の髪を持った少女が楽しそうに話していた。


「初めてだったから、真っ黒焦げになってしまったのですけど
キラったら無理して食べてくれたんですの」

はたから見れば、少女がただ独り言を言っているようにしか思えないのだが、そうではない。


彼女にはちゃんと聞こえている。

―世界が離れてしまっても、いままでと変わらず自分を見守ってくれている星(きょうだい)たちの声が。



「ラクス?」


「あら、キラ」



いつの間にか、キラがラクスの部屋に入って来ていた。
ベッドに座るラクスに近づいて、後ろから抱きしめる。



「お兄さんたちと話してたの?」


「はいっ。今ちょうどキラの報告をしてましたの!
わたくしの作ったハンバーグを無理して食べてくれた、と」


「別に無理なんかしてなかったよ?
……てか、お兄さんたちはなんて?」


「ふふ。キラのこと、優しくて良いやつ…と、言ってくれてますわ」


「そう、良かった!」



心底ほっとしたように、キラは息を吐いた。

その息が耳にかかってくすぐったいな、とラクスは思う。





キラの家にラクスが暮らし始めて、1ヶ月が経った。
最初は戸惑っていたカリダやカガリも、ラクスを気に入り、その存在を認めている。




「キラ、もう夜も遅いですよ?そろそろ寝ないと」


いつまでもラクスを抱き締めて離さないキラの腕をポンポン叩く。
しかし、キラは彼女の肩に顔を埋めて動こうとしない。



「…もう少し、一緒にいたいんだけど」


「…恥ずかしいですわ。お兄様たちが見てます」


「お兄さんたち、怒ってる?」


「………呆れてます」



肩から顔をあげ、キラはラクスを見つめる。
ふいにプッと二人同時に笑いだした。




「ごめん、ラクス。もう寝るね」


「ええ、キラ。
おやすみなさい」


「ラクス、また明日」


「はいっ。また明日!」










いつまでも続く















(星は恋に落ち、僕に舞い降りた)







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