ブック5
□自覚のない騎士
1ページ/2ページ
ブリタニア帝国の貴族ヴァインベルグの生まれである、ジノ。
数ヵ月前、彼に新しい友達が出来た。
いつもの様に両親に連れて行かれた社交場。
紳士淑女の世間話や優雅なダンスに飽き飽きしていた彼の前に現れた一人の人物。
それはブリタニア帝国の皇女ユーフェミアだった。
幼い二人はあっという間に仲良くなり、お互いの屋敷に出向いては時間が許す限り一緒に遊ぶようになっていた。
今日はジノがユーフェミアの離宮に行く番。
すっかり顔馴染みになった執事やメイド達に挨拶をして、
ジノはユーフェミアがいるであろう、彼女のお気に入りの庭園まで走って行く。
鮮やかな緑が広がる庭園に慣れ親しんだ薄紅色が見えた。
「ユーフェミア!」
ジノは大きな声で呼ぶ。
しかしユーフェミアはピクリとも反応しない。
ジノは走るのをやめて、ゆっくりと傍に寄る。
「ユーフェミア?…って…」
ジノの目に飛び込んで来たのは、青空にお腹を向けてスヤスヤ眠るユーフェミアの姿だった。
(…………、寝てる)
ジノは呆れたように息をつく。
「……………シュ……」
「え?」
→