ブック5
□仲良し
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ナイトオブラウンズでスリーという称号を与えられているジノ・ヴァインベルグ。
彼は巨大帝国ブリタニアで最高峰に位置する騎士で、もとは貴族の出身だ。
ユーフェミア・リ・ブリタニア。彼女はブリタニア帝国の(すでに皇位継承権を返上しているが、)第3皇女であり、エリア11の副総督をへて『行政特区日本』の発案者である。
「へえ〜!これが庶民の食べ物かぁ」
「おいしいでしょう?初めて食べた時は感動しちゃいましたっ」
「うん、うまい!
庶民の味も悪くはないなっ」
ジノとユーフェミア。
彼らは共に生粋の“お坊っちゃま”と“お嬢様”だった。
つまりは二人とも「世間知らず」ということ。
―パシャリ
短い機械音がし、スザクは横を見る。
相変わらずの無表情で、ナイトオブラウンズでシックスの称号を持つアーニャがクレープにはしゃぐジノとユーフェミアの様子を写真に撮っていた。
「記録」
「アーニャも写真ばかり撮ってないで一緒に食べましょうっ?すっごくおいしいですよ〜っ」
「スザクも食えよ!ほらこれ、ツナサラダ!うまいぞ〜」
仲良さげに寄り添うジノとユーフェミア。
少し離れた所で、アーニャと共に彼らを見守っていたスザクは大きく溜め息をついた。
それに気付いたジノはスザクに駆け寄り、首をかしげる。
「どうしたんだい?溜め息なんて。
ほら、これ食べなよ。元気出るかも」
「……ジノ…いや、良いよ…」
「遠慮してるのかい?気にしないで良いさ。わたしはユフィのをいただくから!」
「は?」
持っていたツナサラダのクレープをスザクに手渡すと、ジノは素早くユーフェミアのもとに戻る。
「ユフィ!君のクレープ、一口いただいても良いかな?」
「ええ、どうぞっ」
「ありがとうっ」
がぶっ。
莓と生クリーム、チョコレートが混ざったユーフェミアの甘いクレープを笑顔で食べるジノ。
「あああぁあ!!?」
その光景にスザクは絶叫する。
隣にいたアーニャは思わずスザクを見上げた。
「ジィノォ〜…」
ぐしゃ、とジノからもらったクレープを強く握り締めるスザクは地を這う様に声を出し、
ジノとユーフェミアに接近する。
「……ジノの馬鹿」
一人その場に残されたアーニャはそう呟くと、愛用の携帯電話をスザクとジノとユーフェミアに向けた。
―パシャリ
「記録」
アーニャは撮った写真を早速ブログに載せ始めた。
タイトルはどうしよう。…ああ、そうだ、これが良い。
【仲良し】
そこには、スザクに投げ飛ばされるジノと、目を真ん丸に見開いて驚くユーフェミアの姿があった。
end.
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