ブック5
□別れ
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シャンパンを飲み干し、真剣な顔でホールで踊る人々を見るジノ。
滅多に見ることのないジノの真剣な顔に、ユーフェミアは目を見開く。
「……ジノ?」
ユーフェミアの視線に、ジノは笑顔で答える。
「ユフィ、わたしは、軍に志願したんだ」
「…………!」
「明後日には家を出て、軍の寮に入る」
無意識にユーフェミアの手が震える。
シャンパンのグラスを落としそうになるのを堪えるように、両手でギュッとグラスを持った。
「ごめんな、言うのが遅くなって」
ジノは無邪気な笑顔でユーフェミアの頭を撫でる。
綺麗にまとめた髪をお構いなしに。
「…もうっ、ジノはいつもわたしのこと子供扱いして…っ」
「ははっ、ごめん!」
不満げな瞳で見上げるユーフェミアに、ジノは笑顔を向ける。
ユーフェミアは視線を一度床に下ろし、
微笑みながらジノを再び見た。
「…行かないでって言っても、ジノは行っちゃうのよね?」
「…うん、ごめん」
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