ブック5
□今日は7月11日
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梅雨の時期も過ぎて、晴天が続いたある日。
高く昇る陽の光がユーフェミアの部屋に差し込む。
「7月10日…?」
真ん丸の瞳が瞬きもせず、目の前で紅茶を飲む少年を見つめる。
少年は軍の制服の上着を近くの椅子にかけ、
すこしネクタイをゆるめて、すっかりリラックスしている様子。
「…スザク」
「はい?」
ティーカップを持ったまま、ユーフェミアは真剣な眼差しでスザクを呼んだ。
「スザクのお誕生日は本当に7月の10日なのですか…?」
「? そうだよ?」
ガチャン!
スザクが答えた直後、ユーフェミアの手からティーカップが抜け落ちた。
ティーカップは大した高さに浮いていなかったので割れはしなかったが、驚いたスザクが慌ててユーフェミアに駆け寄る。
「ユフィ!
大丈夫!?怪我とかしてない!?」
スザクはユーフェミアの横に膝をついて、彼女の両手を取る。
―綺麗な指なのに、火傷とかしたら大変だ!
「…スザク…」
慌てた様子のスザクとは正反対にユーフェミアがゆっくりと彼の名前を呼んだ。
その声に、彼女を見上げたスザクは目を見開いた。
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