ブック5
□今日は7月11日
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しかしスザクがそれを許すはずもなく、逆にもっと力を込めて手を掴んで、自分の方へと引っ張った。
短い悲鳴と共に自分の胸に飛び込んで来たユーフェミアの背中に腕を回す。
彼女の細い身体は、スザクがほんの少し力を入れたら折れてしまいそうだと思った。
しばらくユーフェミアの体温を堪能していたスザクに、ユーフェミアは耳打ちする。
「…来年こそは、ちゃんとお祝いさせてくださいね?」
「もちろん」
くす、と笑ってスザクは頷く。
「何か欲しい物はありますか?」
「…欲しい物か」
「はいっ」
うーん、と少し悩んでから、スザクはユーフェミアの額にコツンと自分の額を合わせた。
「ユフィがくれるモノなら、僕はなんでも嬉しいよ」
(ほんとはあなたがいちばんほしいけど)
―彼女は照れ屋だから、この気持ちは、まだ内緒にしておくんだ。
end.
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