ブック5

□過去を繋ぐもの
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―がぶり

「うっ」


人差し指に走った痛みに、スザクは眉間にしわを寄せた。
スザクに痛みを与えた猫は、フイッとそっぽを向いて、欠伸をする。


「…アーサー、君はいつになったらなついてくれるのかな」


噛まれた人差し指を擦りながら、スザクは不満げな声を漏らす。



その直後、呆れた様な笑い声が後ろからした。


「あははは、お前、また噛まれてんのー」


「笑わないでよ、ジノ」


振り返らず、スザクは溜め息をつく。
ジノ、と呼ばれた青年はスザクと同じ「ナイト・オブ・ラウンズ」の一人、ナイトオブスリーの地位を持つ。


「俺には分からないな。自分になつかない猫を飼い続けるスザクが」


「……だろうね」


スザクはふ、と口元だけ微笑んだ。



「だけど、アーサーは大切な友達だから…」




そう。
アーサーは大切な友達。大切だった思い出の中にいた猫。


アッシュフォード学園での思い出。
あそこにはかつての親友と幼馴染みがいて、生徒会の皆がスザクの居場所を作ってくれていた。
その頃からやっぱり噛まれ続けて、周りも呆れていたけど、それさえも楽しかったと思う。









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