ブック5

□過去を繋ぐもの
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そして、何より、
アーサーは、彼女との思い出の中にもいる。

空から降って来た少女。
見るもの全てに感動し、微笑んだ彼女。





遠く、二度と手の届かない場所へと逝ってしまった、愛しい女の子。





―学校に行ってほしいと、言われた。

―生きていてと、叫ばれたことがあった。



スザクは、彼女の願いを裏切る場所に
今は身を置いている。



「ナイトオブセブン」

それが今のスザクの地位。



彼女がいなくなって1年。
ただがむしゃらに“奴”を追いかけた。
“奴”を殺すために、たくさんの同胞を殺してきた。




きっと、
今こうしてるスザクを見たら、彼女は怒るだろう。
もしかしたら、悲しくて泣いてしまうかも知れない。



そう思うと、
申し訳ない気持ちでいっぱいになる。




けど、それでも。
どうしても許せないから。






アーサーを見ていると、楽しかった頃を思い出せる。
もう戻れない、あの場所。
もう消えてしまった、彼女の笑顔。



確かな幸せが、
あの時あった。





「ふーん、猫が友達ね」


「そう。大切な、ね」


「やっぱり俺には分からないかな」
 



にかっと無邪気な笑みで頷くジノにスザクは苦笑した。











end.
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