ブック5
□幸せなハロウィン
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『トリック、オア、トリート!!お菓子をくれなきゃ悪戯するわよ〜!!』
アッシュフォード学園の制服を纏ったスザクは息を切らしながら走っている。
―あの人は、きっとこういうお祭り事が好きだと思う。
可愛らしいラッピングのされた袋を大切そうに眺めながら。
【幸せなハロウィン】
「スザク君、おかえりなさい」
息を切らすスザクに気が付いたセシルが笑顔で迎える。
彼は息を整えながら「ただいま」と返すと、辺りをキョロキョロ見回した。
セシルはにっこり指を指す。
「ユーフェミア様なら奥の部屋にお通ししてるわよ」
セシルの言葉にスザクは「やっぱり」と笑う。
「来てるんじゃないかなって、思ってたんです」
そういうと、制服姿のまま駆け出した。
「ユフィっ」
「スザク!」
勢い良く部屋に飛び込むと、ソファーに座っていたユーフェミアが嬉しそうに立ち上がった。
「スザク!あのね、今日―」
「はいっ!」
スザクはユーフェミアの言葉を遮り、白い袋を彼女に差し出した。
ユーフェミアは突然目の前に袋を差し出され、目を丸くする。
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