ブック5

□光溢れた日、その瞬間
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「イエス、ユア、ハイネス」


自分でも驚く程に、穏やかな声が出た。












僕は、ずぅっと死にたいと願っていた。
父を殺し、その結果たくさんの人々を死なせた償いをして、死んでいきたかった。
ほんの小さな事でいいから、誰かを救い、死ねたら…。

でも、俺は生きたいとも思っていた。
父を殺し、その結果たくさんの人々を死なせた俺だけど、それでも生きたいと。
そう願う俺はなんて傲慢なんだろう。




『枢木スザク』という人間は可笑しい。
―死にたいと願いながら、
―生きたいとも願う。

たくさんの人々を死なせた償いをして死ぬ為に、ブリタニア軍に入隊したのに、
生きる場所を探している自分がいる。



父を殺したのに―
たくさんの人々を死なせてしまったのに―


こんな風に、優しい場所にいちゃダメだ。
僕は罪人なんだ。



許されようと思っちゃいけない。
そんな事を望んではいけない。

僕が、俺を許すな。




償わないといけない。
戦わなくちゃ。
誰でも良いから、守るんだ。
…そして、今度こそ死ぬんだ。










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