ブック5

□てがみ
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暖かい風が吹き渡る。

どこまでも広がる草花の中に、薄紅色の長い髪をなびかせながら佇む少女がいる。

真っ白な便箋を両手に大事そうに抱えて、少女は微笑んでいた。


「ルルーシュ…」




来ないと思っていた。
もう二度と、彼らと関わることは出来ないのだと諦めるかけていた。








【てがみ】







シワひとつない真っ白な紙と、ルルーシュはかれこれ二時間は格闘している。

彼の回りにはクシャクシャに丸められた白い紙がいくつも転がっていて、それほど広くない部屋を汚していた。


「…お兄様」


 
隣にいるナナリーが困ったように彼を呼ぶ。
書いては紙を丸めて捨て、書いては紙を丸めて捨ての繰り返しをそばで見ていたナナリーは、小さく息をはく。


「このままだと、せっかくスザクさんが用意してくださった紙がなくなってしまいます」

「う…」

「ユフィお姉様にお伝えしたいことがたくさんあるのは分かりますけれど、紙がなくなってしまったらお手紙を出せなくなってしまいますよ?」


ナナリーの言葉は正しかった。
始め、何十枚とあった紙は、もう何枚もない。



「…なんだか、うまく言葉がまとまらなくて」












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