ブック3

□かえるの王子様 W
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僕は“さようなら”と言われても彼女を追い掛けられる、勇気のある人間じゃない。





だから、彼女が立ち去った後に
僕はただただ彼女のぬくもりが残っている頬に触れていた。







“さようなら”





一緒に暮らしていたわけだから、
彼女にそんな言葉を言われた事なんてない。



「…ラクス」





チクンと胸を刺す痛みが、ラクスの名を口にする度強まった。











ポタポタと
僕の大きな目から流れた水はその痛みが原因なんだろうな…。










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