ブック3
□彼と彼女の叶わなかった恋 前編
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何十年も昔の本当のお話し。
『私がまだラクスと同じくらいの年の頃ね、とても大好きな人がいたの。』
大好きな彼女のお話しに、ただ無償に惹かれた。
『毎日、あの桜の木の下で逢ってね、とても幸せだったのよ。』
でも、彼女達が結ばれる事はなかった。
『どうしてですか?』
『お互いに、決められ人がいたの。…あの時代、親には逆らえなかったわ。』
そう言う彼女の表情はとても辛そうで。
『彼が、言ってくれたのよ。』
―…駆け落ちをしよう…―
『私達が出会ったあの桜の木の下で待ち合わせて、駆け落ちをする約束をしたの。』
でも、彼女はそこに現れなかった。
『私は、親には逆らえなくて…彼を裏切ってしまったの。』
それから、幾年過ぎただろう…。
どんなに時が経とうと、彼女はあの約束を胸に秘めている。
そして、彼女は長い生涯に幕を閉じた。
【彼と彼女の叶わなかった恋】
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