ブック2
□さよならを告げる鐘の音
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誰かの幸せのために、どうして誰かが我慢しなくてはいけないのだろうか?
本当に、アホらしい。
昔の僕なら、確かに誰かの幸せのためなら
自分の幸せを我慢出来ると思ってた。
けど、なんて浅はか。
君という存在を知ってから、僕は
とてつもなく傲慢で、意地悪な人間となった。
「今さら、君がいない時間なんて耐えられないよ」
「あら、なぜ?」
貴方はいつだって、わたくしをほおっているくせに?
クスクスと、鈴がなる。
いつもだったら、心地良く感じるその音色が
今は苛立ちを感じさせる。
「だって君は、ずっと側にいたじゃないか」
「そうですねぇ」
カチャと、トランクの鍵が締まる。
「行かないで」
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