ブック2
□桜散りて、彩る恋
1ページ/5ページ
【桜散りて、彩る恋】
ハラリ、ハラリ
何枚も何枚も
その白い頬をかすめながら舞い散る
春の名物史―桜。
空中を薄紅色に埋め尽さんばかりの花びら達は
すでにいくつも散りゆき
今度は大地を薄紅色に埋め尽そうとしている。
「ラクスー?」
「キラ…」
ただ花びらの散り行く桜の下に立っていたラクスに、キラが呼び掛けた。
「どうしたの?」
「…淋しいなぁ、と思いまして」
ラクスはゆっくりと
キラの肩に自分の頭を預ける。
それに応えるように
キラはラクスの腰に手を回した。
「どうしてお花は、散ってしまうのでしょうか?…あんなに綺麗なのに」
ずっと見ている事が出来なくて、淋しい。
ラクスはそう言うと、溜め息をつく。
→