ブック1
□吸血鬼の恋
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春うらら
赤い屋根の上に
茶色の髪、紫の瞳の少年が寝転がりながら、ぼんやりと空を眺めていた
「はぁ…」
肩で思いっきり溜め息をつく少年は
つい先日出会った美しい少女に想いを馳る
「可愛い子だったなぁ」
《ごめんなさい、大丈夫でしたか?》
ピンクの長くふわふわの髪に空色の大きな瞳
やんわりとした微笑みに少年は一目見ただけで心奪われた
今でも鮮明に目に焼き付いて離れない
もう一度逢いたいな
「キラー」
家の中から呼ばれ、天窓から顔をひょこっと出せば
そこには眉間にしわを寄せた親友・アスランが立っていた
「お前はまた…あんまり日の光に当たってると体力なくなるぞ」
「平気だよ〜、アスラン心配しすぎ」
気の抜けたキラの返事にアスランは深く溜め息をついた
「てか何?」
「ん?ああ、お客さん」
「…客…?」
「女の子だった、ピンクの髪の…ってキラ!?」
アスランが言い終わる前にキラは天窓から飛び入り、玄関へと走っていた
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