ブック1

□吸血鬼の恋
1ページ/7ページ


春うらら

赤い屋根の上に
茶色の髪、紫の瞳の少年が寝転がりながら、ぼんやりと空を眺めていた


「はぁ…」


肩で思いっきり溜め息をつく少年は
つい先日出会った美しい少女に想いを馳る


「可愛い子だったなぁ」


《ごめんなさい、大丈夫でしたか?》


ピンクの長くふわふわの髪に空色の大きな瞳

やんわりとした微笑みに少年は一目見ただけで心奪われた

今でも鮮明に目に焼き付いて離れない

もう一度逢いたいな


「キラー」


家の中から呼ばれ、天窓から顔をひょこっと出せば
そこには眉間にしわを寄せた親友・アスランが立っていた


「お前はまた…あんまり日の光に当たってると体力なくなるぞ」

「平気だよ〜、アスラン心配しすぎ」


気の抜けたキラの返事にアスランは深く溜め息をついた


「てか何?」

「ん?ああ、お客さん」

「…客…?」

「女の子だった、ピンクの髪の…ってキラ!?」


アスランが言い終わる前にキラは天窓から飛び入り、玄関へと走っていた






次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ