ブック1

□初めての気持ち
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救命ボートからふわり、と出てきたその様は
まるで

『しゃぼん玉』

のようで…


僕は思わず見惚れてしまった



「まぁ…これはザフトの船ではありませんのね…?」


彼女の一言でクルーのみんなは固まった

僕も驚いた

ナチュラルしかいなかったこの艦に僕と同じ、コーディネイターが迷い込んできた

僕は少しだけ嬉しかった…





「コーディネイターの癖に馴れ馴れしくしないで!!」
彼女に向けられた言葉の刃
僕に向けられたわけじゃないけど、胸に強く刺さった
…痛い

このしゃぼん玉の様な少女は、きっと僕よりも痛いだろうな…と思った
だから、僕なりの慰めの言葉を投げ掛けた

そしたら、彼女は微笑んで言った


僕は優しい…って


違うよ…
僕が君に優しいのは、僕も君と同じだから…
コーディネイターだからだよ…


「貴方が優しいのは、貴方だからでしょう?」


彼女は当たり前の様に言った


その言葉を聞いた途端、胸の痛みが引いていった

かわりに、何か温かくて優しいものが染み込んでいく…


なんだろう
こんな気持ち、始めてだ…

何だか彼女の顔をちゃんと見れない

僕、どうしたのかな…?





END.

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