ブック1

□君一色
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「キラ、おはようございます」

「キラ、お味はいかがですか?」

「キラ、お散歩ですか?」

「キラは海を見てるのがお好きですか?」

「キラ、夜更かしはいけませんわ!早くお休みになってください」



君がいる日々が当たり前のように過ぎていく

昨日…今日…明日…
きっとこれからずっと…

毎日のように僕を呼んで、話しかけて、笑いかけてくれる


僕の世界が君一色になっていくような気がした…

実際、そうなんだけど…



「キラ――――っ」


君に呼ばれ、僕は動き出す
君は…
ラクスは庭にある花壇の手入れをしていて


「どうしたの?」


と僕が声をかければ、ラクスは満面の笑みを僕に向けてくれて…


「見てください!!」

と、白くて華奢な手の中に包んでいたものを僕に見せる


「…四葉のクローバー…?」

「あら、ご存知でしたの?…てっきり知らないものだと…」


ラクスは目を丸くした


「酷いな〜、それくらい知ってるよ」

「ふふ…冗談です」

「…ラークース〜?」


からかわれた…
僕は1トーン低い声を出す

「まぁまぁ…」


そんな僕にラクスは鈴みたいに笑う
僕は気をとりなおしてラクスに話しかける


「でも、良かったね」

「はい!四葉のクローバーは【幸運】の象徴ですものね…!」




僕は、こんな風に過ぎていく日々がとても大切で、ずっとこうしていられたらな…って思う



「…ラクスって、花好きだよね〜」

「はい!大好きですっ」

「…僕も…何か育てようかな?」

「あら!まぁ、本当に?」

「うん…」

「でしたら、ラベンダーなどはどうですか?」

「ラベンダー?」

「はい!とても良い香りですし、綺麗な紫色のお花なんですのっ」

「紫…?」


それって、僕の…


「キラの瞳の色で、私が大好きな色ですわ」

「///」


無邪気に笑うラクス
自分の顔が熱くなっていくのが分かる…




僕の世界はラクス一色で、もう戻れない…
戻るつもりもないし、戻りたくない……







END.
 

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