ブック5
□信じたくない
1ページ/1ページ
――ポロリ。
一粒の涙が蒼い瞳から零れた。
大事な友達だった。
いや、違う。
彼女は友達よりももっとずっと自分の傍にいて、当たり前に笑ってくれる人だった。
そんな彼女が死んだ。
任務を終え、今にも眠りに就こうとしていた自分に、告げられた。
─第3皇女ユーフェミア・リ・ブリタニアが亡くなられた─と。
─イレブンを大量虐殺して、テロリストに殺された─と。
『世界がもっと優しければ良いのに』
違う。
彼女は、ユーフェミアは、ユフィは!
そんなことをする人間じゃない。
そんな死に方をしなきゃいけない人間じゃない!
『ねぇ、ジノ』
「…なんで、こんなところにいるんだろう」
守りたかったのに、彼女を。
「…どうして、なんだ…」
守りたかったから、力も立場も手に入れたと言うのに。
『生きてね、ジノ』
守りたかった彼女は、遠く離れた彼の地で死んだ。
傍にいることも、守ってあげることも出来ずに。
end.
戻る